ピアノ調律について

「ピアノは生きています」

ピアノには、木材、羊毛、鹿革などの天然素材が多く使用されています。
その為、温度や湿度の変化によって状態は日々変化します。
さらに、1台につき約230本の弦が張られていて、1本に約80~90㎏、ピアノ全体では約20tもの力が加わっています。
そのまま放っておくと弦は伸び縮みをくり返し、どんどん音程が狂ってしまいます。

 

「調律は健康診断。調律師はピアノのお医者さんです。」

皆さんは、年に1度人間ドックを受けていますか?
身体にどこか悪い所は無いか、これから病気になりそうな危ない所は無いか、しっかりチェックしてもらっているでしょうか。
ピアノも私達と同じように生きています。
1年に1回、もしくは半年に1回の健康診断が必要なのです。
病気になってからお医者さんに行っても、治療する事はできます。
しかし、定期的に健康診断を受けていれば、病気になるのを防ぐ事もできるのです。
もちろん、使用頻度やピアノの置いてある環境にもよりますが、きちんと定期的なメンテナンスをして頂ければ、親子2代、3代と、末永くご使用頂く事も不可能ではありません。

 

「調律」

長い間調律をお休みしてしまうと、音程が下がり「ド」の音の鍵盤から「シ」の音が聞こえてしまう事もあります。
音程がズレたままのピアノを弾き続けていると、間違った音を耳が覚えてしまいます。
そのような音のズレを正しく整えて、美しいハーモニーに仕上げます。

 

「整調」

ピアノは、鍵盤を押すと、多くの部品が連動してハンマーが弦をたたき、音が出るしくみになっています。
鍵盤を押してから音が出るまでのメカニズムをアクションと言い、鍵盤、アクション、ペダル、様々な部品を最適な状態にして、弾きやすく、思った通りの演奏ができるよう、タッチを調整します。

 

「整音」

ハンマーは、長年の使用によって摩耗します。
たとえ未使用でも、温度や湿度の変化によっても劣化は免れません。
そのようなハンマーに弾力と張りを与え、音量と音色のバランスを整えます。
この作業で演奏者の表現力を、可能な限り引き出します。